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- ジョンズ・ホプキンス大学出版会から出版予定の
図書館員のためのニュージャーナル
図書館界の有力な雑誌のひとつとして
編集を刷新してから、前の編集者がジョンズ・ホプキンス大学出版会から発行される
新しい雑誌に戻ってきました。
2000年5月11日に、ジョンズ・ホプキンス
大学出版会が図書館界向けの新しい季刊雑誌、Portal: Libraries and the Academy
(ポータル:図書館と学術)の創刊を発表しました。Portal は、大学人の要求に
応えるための高い技術と図書館員の役割に関する目標を持ち、2001年1月に刊行されました。
図書館界の新しい雑誌出版の考えは、1998年にヨーロッパの大手商業出版社が
Journal of Academic librarianship (JAL)を買収した後に生まれたものです。
編集者の多くはこれに抗議し、1999年末に辞表を提出しております。
編集委員会
メンバーの何人かは、ジョンズ・ホプキンス大学出版会に接触し、同大学出版会は彼らの
新しい出版計画に同意しました。前のJAL編集者は、現在Portal 編集委員会の大半を
占めております。Portal は、機関購読価格を145ドル、個人購読価格を48ドルとし、
JALの2001年購読価格よりそれぞれ、30%と45%低い価格となっております。
その動きは図書館界からすでに賞賛の声があがっており、米国研究図書館協会、
及びSPARC(Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition)の支持を受けています。
世界中の図書館団体は、迅速な審査と出版により、早い論文受理が得られることから、
Portal に投稿することを勧めております。
Portal に関する情報は
ジョンズ・ホプキンス大学出版会のウエッブ・サイトhttp://www.press.jhu.edu/を参照ください。
- 前編集者が新しいプログラミング言語の雑誌を
創刊
Journal of Logic Programming (JLP)(論理プログ
ラミング誌)の価格高騰に抗議し、辞職してから、前の編集委員会は次の年に新しい雑誌を
刊行することを表明しました。
その新しい雑誌は、Theory and Practice of Logic
Programming (TPLP)(論理プログラミングの理論と実践)で、2001年1月に創刊され、
ケンブリッジ大学出版会の協力のもとに刊行されております。 TPLP誌は、機関誌である
JLPの価格を低価格に維持しようとする論理プログラミング学会の苦闘の末誕生したものです。
JLP誌はALPが創設されてまもなく、1986年にALPの機関誌として採択されております。当時、
JLP誌はページ当たり26セントで販売されていましたが、10年後価格はページあたり67セントに
上昇していました。一般のインフレの3倍以上になる価格上昇です。さらに1998年には、ページ当たり
20セントも価格を揚げ、これに対してJLP編集委員会からは不満の声があがりました。
その後の価格上昇に関するエルゼビア社との交渉は進まず、16ヶ月後の1999年11月に
JLPの編集委員50人は集団でその職を辞退しました。その編集委員達は、ケンブリッジ大学出版会が
TPLP誌をJLPの価格より約55%低いページ当たり単価で発行することに合意したことを
表明しております。
JLPの前編集委員会の全面的な協力のもとに、
論理プログラミング学会はJLPの支援から手を引き、TPLPを正式な機関誌として採択しました。
著者の何人かはJLPへの投稿を撤回し、改めてTPLPへ投稿し直しております。
詳細情報は
TPLP誌のウエブサイトwww.cwi.nl/projects/alp/TPLP/tplp.html
でみることができます。
- 商業出版社から自立した生態学誌が競争誌を
凌ぐ
最初の学術誌を創刊してから10年以上経過して、
ローゼンツバイク教授は、職務を離れ、そして最初のスタートラインに戻って新たな雑誌の
創刊を考え始めました。今年、その新しい雑誌が生態学の分野の有力な雑誌として登場しました。
1998年に、ローゼンツバイク教授が1986年に創刊した、生物学誌の
Evolutionary Ecology (EE)(進化生態学)は3度も出版者を替えております。
その都度EE誌を買収した出版者は価格を上げてきました。因みに、この12年間で価格は平均で
年19%も上昇しております。
ローゼンツバイク教授と他のEE誌の編集者は、
図書館がEE誌を購読する余裕がなくなったことにより、EE誌への関心が減衰していくのではと
考えるようになりました。結局、出版者がこれらの問題に省みないことことから、全員で
編集委員を辞退することにしました。そして、ローゼンツバイク教授は新しい雑誌、
Evolutionary Ecology research (EER)(進化生態学研究)を刊行する会社(法人)を
立ち上げました。
1999年の最初の出版のときは、EE誌が800ドルの購読価格であったの
に対して、EERの購読価格は305ドルの設定価格でありました。その年のEER誌は全卷8冊で
刊行されております。さらに重要なことは、財政的には損得がなかったことでした。
一方のEE誌は全卷には満たさず5冊のみの刊行に終わっております。
学術出版界は、新しい雑誌を受け入れているように思われます。EE誌に投稿していた
著者の90%はEER誌に乗り換えています。主な索引・抄録誌は創刊時からEER誌を収録し始めて
います。
さらに言えることは、2000年の2誌の刊行状況です。EER誌はすでに5冊
刊行しているのに、EE誌は今年1冊も刊行されていません。詳細情報はEER誌ウエッブ・サイトhttp://www.evolutionary-ecology.com/を
参照ください。
- AAPAがWiley刊行誌の価格引き下げを交渉!
Wileyの雑誌価格引き下げにSPARC効果があった。 Andrew Albanese著、
Library Journal Academic Newswire誌 2000年9月12日号
逐次刊行物危機回避の
流れの発端となるか?完全ではないが、SPARC職員には今週期待できる確証をつかんでいる。
最近米国自然人類学会(AAPA)がSPARCの助力を得て、John Wileyの子会社である
商業出版社Wiley-LissとAAPAの機関誌に関する新しい出版契約書を交わし、40%以上の
値下げがあったことを公表した。契約書の新しい条文に歓迎の意を表明したSPARC職員は、
価格の低下は商業出版社の間では前例のないことであったと言っている。契約に関わった
職員によれば、AMERICAN JOURNAL OF PHYSICAL ANTHROPOLOGYの購読者には、
伝えられるところでは、機関購読価格が年2085ドルから年1390ドルに
落ちるとのことである。加えて、Wileyは過去の購読者、新規の非会員購読者のために
特別価格を企画し、定価の20%(おおよそ278ドル)で第二の機関購読価格を
設定しようとしている。また、AAPAの編集事務局に7年に及ぶ契約期間のサポートを考えて
いるようだ。
AAPAの出版責任者であるジョナサン・フレッドレンダー氏が、Nature誌で、
「学術出版では、画期的な変化である。高価格の時代が、我々のように価格を切り下げるか、
あるいは学会自身が多くの新しい競争誌を持つことによって、終焉しようとしている。」と
話している。
フレッドレンダー氏によれば、その企業グループは機関購読者の
減少について、しばらく頭を痛めていた。彼らが契約交渉を行うときには、常に大学側に
出来ないことを行っていて、そのひとつが、知的所有権の弁護士雇用であり、そしてその結果
学術コミュニケーションの問題に詳しくなっていったと、フレッドレンダー氏は言っている。
SPARCの企画責任者であるリック・ジョンソン氏に連絡をとってください。ノースカロライナ大学教授で、
AAPAの会長であるクラーク・ラルセン氏と一緒にフレッドレンダー氏は、独立の雑誌をつくることを
含め、真剣に可能なオプションの評価を始めた。Wiley-Lissの柔軟で分別のある代表と
SPARCとのコンビネーションが、結局協約を結ぶことができたと、フレッドレンダー氏が言っている。
さらに価格の低下が機関購読の増加を引き起こすことを期待して、次のように言っている。
「価格の低下が図書館を購読者として引き戻すことができるか、あるいは我々が落伍者と
ならないようになるか、大きな試練である」
出版者があなたや学術界に約定しているサービスをどのように評価すべきなのか、
もっと知りたい場合は、 http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/sparc/
create/faculty/intro/aboutcc.html を参照するか、
メアリー・ケース 氏にEメールでご連絡ください。
この論文は、Library Journal Academic Newswire誌の2000年9月12号から
許諾を受けて転載している。
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