問題の概要 | ||||||||||
|
||||||||||
学者・教員包囲網: あなたの学術コミュニケーションは包囲網のなかに あります。 学術コミュニケーション・システムは学者・教員に役立ってきましたが、 現在は崩壊の危機にあり、学者・教員であるあなたはその主導権を失っています。 学術調査活動・創造活動の命綱となってきた学術情報の自由な流れが妨げられています。 世界中の学者・教員は学術刊行物の入手に不自由しています。学術 情報は年を追って幾何学的に増加しているのに、図書館は学術誌と学術書のタイトル数 を削減し続けています。その結果、あなたや、あなたの同僚、院生の皆さんにとって、 世界で発生する学術情報の入手が年々困難になっています。詳細はこちら 何が起こっているのでしょう? 学術出版物の価格、特に 科学・技術・医学分野のそれは急騰してきました。北米の平均的な研究図書館は1986年 以来、学術誌の購読タイトル数を6%以上削減する事態に陥っており、単行書については 26%が削減されました。 しかも、水面下の問題にはさらに深刻なものがあります。学術コミュニ ケーションは出版者が年間二桁台のパーセンテージの値上げを敢行する数十億ドル規模 のビジネスになりました。大企業は利益と株主を優先しています。企業買収によって 競争が緩やかになり、価格がさらに上昇しています。商業出版者の発行する学術誌の 価格は非営利学術誌のそれの3〜7倍であり、図書館はそのような価格の高騰をまかない きれないでいます。 詳細はこちら さらに深刻なことに、あなたがた学者・教員は、世界中の学者、研究者や 学生のために存在するはずのシステムの主導権を失っています。皆さんの大学 などによって、そして皆さん自身によって支えられた研究成果は、それらを 不当な価格で図書館に販売することも少なくない出版者の手に委ねられて います。研究成果の伝達はこのシステム本来の目的なのですが、それも失われ つつあり、学術論文を不自由なく手にすることができる研究者もますます少なく なっています。多くの場合、あなたがたは、自ら発表した著書を自分のクラスで使用する 権利すら失っています! なぜこうなってしまったのか? この30年から 40年で学術情報は急増しました。営利を目的とする多くの商業出版者は 現行システムに営利的潜在性を見出しました。彼らはますます学会および 大学出版会の主導権を握るようになってきました。利益追求という動機が情報の 自由交換という学者・教員の大切な価値観よりも優先された結果として 今日のようなシステムになってしまったのです。詳細はこちら 将来はどうなるのか? これまで15年間、図書館は 躊躇なく図書の購入を削減しましたが、しかし、単純に推計すると、2015年には、 平均的な研究図書館は価格高騰分をまかなうだけでも学術誌をはじめとして全体でさ らに17%の削減を余儀なくされる見込みです。別の予測もあり、経済がやや低調になるという前提で 購読タイトル数の実に45%が削減されるとしています!同じような現象は、小さな大学や、 カレッジの図書館にもみられます。詳細はこちら 学術コミュニケーションは今やビッグビジネス。 現在、研究図書館協会に加盟する北米の121の研究図書館では、学術誌購読に合計で 4億8000万ドルが費やされています。これらの図書館が購読タイトル数を現在のレベル のまま維持しようとするだけで、2015年には全体で年間19億ドルが、図書館1館あたり 年間1600万ドル近くが支出されることになります。現在のARL加盟図書館の平均的 購読予算に賃金、蔵書、設備、補充品などの費用を上乗せすると1676万ドルもの 総費用になります! 別の指標もあります。学術情報を取り扱う商業出版者の利益率は 20%から40%にも上ります。もっと儲けている出版社もあります。このような高い利益をあげら れるのは、宝石、ヨットや高級車を取り扱う業者、あるいはMicrosoftのような 独占企業だけです。詳細はこちら 本来は自分たちのためにあるべきシステムの主導権を失う 学者・教員。学者・教員は学術コミュニケーションを生み出し、その クオリティを保証します。学者・教員とその学生は学術コミュニケーションの 消費者です。出版者は著作物を管理し、出版者と図書館は著作物の流通を管理 しています。このプロセスのなかで出版者が重要な価値を与えているとしても、この システムを支配するべきではありません。学者・教員が支配するべきなのです。 しかし、出版者の価格設定と著作権方針のために、このシステムは出版者に よって支配されています。このようなシステムは脆弱です。 詳細はこちら 学術コミュニケーションにより多くを支払っても、それだけの 価値が得られるとは限りません。 商品には価格相当の価値があります。これは 消費者の一般的な考えです。しかし、今日の学術コミュニケーションにこの考えは まったく通用しません。2件の重要な研究によって、学術コミュニケーションの コストとそのコストから得られる質・量の間には何ら相関関係も存在しないことが 確認されています。事実、低価格な非営利学術誌の費用効果は概して、商業出版者の 発行する学術誌の費用効果を、質(専門分野に与える影響の大きさを尺度と した質)と量の両面で上回っています。非営利学術誌の流通範囲が狭いことを考慮に 入れても、商業学術誌に勝っています。これらの研究については詳細をご覧ください。 現状を維持するためにさまざまな対策を講じる図書館 と学者・教員。 もっとも一般的な対策はもちろん、購買の削減、すなわち、 学術誌をはじめとするあらゆる形態の図書の削減です。概して学術誌が注目されますが、 単行書の受入状況はさらに深刻であり、1980年代半ばから26%も減っています。 一部には、相互貸借や文献複写互助システムに取り組んでいる図書館もあります。 電子リソースへの依存同様に図書館間の相互利用制度は大きく成長してきました。 また、 J-STOR, HighWire Press, Project Muse, と SPARCなどの 有名なプロジェクトをはじめとする多くの対策が講じられてきました。詳細はこちら。 「痛し痒し」の電子リソース。 より素早いアクセス、 同僚が研究過程においていつでもどこででも協力できる、学者・教員と読者が直接 やり取りできるなど、電子リソースには大きなメリットがありますが、問題もあります。 電子リソース保存の問題が未解決です。たとえば、10年後や15年後に今の方法で 保存された電子リソースを閲覧できるでしょうか? また、電子アクセスにはライセンス契約 による厳格な制約がつきものであるため、アクセス権を与えてしまうとその情報を共有できなく なる恐れがあります。一方、電子出版物には、商業出版物に安価さで対抗できる大きな潜在的 メリットがあります。電子出版については詳細をご覧ください。 CREATE CHANGE は、本来あなた方や、世界中の 学生、皆さんの同僚の利益のために存在する筈の学術コミュニケーション・システム の主導権をあなた方や、学者・教員の手に取り戻すプログラムに取り組んでいます。 詳細はこちら。 どのようにすれば皆さんがシステムの主導権を取り戻せるのでしょう?
| ||||||||||
|
||||||||||